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「視る力」鍛える7つの習慣



長いお休みなどもありますし、さわやかな五月晴れの季節到来。美術館などに行かれる方も普段より多めでしょうか。もしもあまり行かない、行ってもつまらない、混雑がイヤ・・・、とついつい足を遠ざけてしまうようであれば、実は視る「モノ」を間違えている危険が・・・。そんな方のために、視る力向上のための美術館の楽しみ方をまとめました。あらかじめ念押ししておきますが「アートのたしなみ方」ではありません。「視る力を鍛える」がテーマです。普段から美術館めぐりを楽しんでいるよ、という方もちょっと視点を変えるという意味でぜひ読んでみて下さい。





1)小さい子供と一緒に行く
既成概念を取り払うためのハックです。世代が異なる、異国の知人と行くなどでも良いかもしれません。『文脈』や『既成概念』を取り払って、自身の感受性や感覚を試すのです。極力「無」の状態でものを見ましょう。価値でなく知覚でモノを見る体験しましょう。いったい何が見えるでしょか。


2)先にガイド(うんちく、説明書)を読まない
これも1)と等しく、概念でなく目で見るためのハックです。絵画鑑賞の多くのストレスやコンプレックスはアートや絵画の「不可解」から招かれるものです。文脈や解説の中の価値に引っぱられる事をいったん止めてみましょう。小さい子供のように、まずは見て、感じてみることです。


3)好きだと思った絵を、帰ってから思い出して描いてみる
さて、今日見て来たものは何だったのでしょうか。思い起こしてスケッチをしてみます。実に人は様々なものを見ています。美術館に行って『疲れた』と嘆く人の多くは、美術館の絵画ではなく、人混みを脳裏に焼き付けてしまっているのです。この作業で、自分が何を見ていたのかがはっきりします。


4)何を見て、なぜ、好きだったのかを考える
よく自分では自分自身が見えずらいなどと言いますが、この作業で自分の価値観がわかります。多いのは『モチーフ』を見ている人でしょうか。光を見る人、カタチを見る人、構図を見る人、空気を見る人、描かれた絵の裏側を見る人・・・・・など様々なタイプに分かれるでしょう。さて、あなたは何を見ていましたか?その理由は何でしょう?


5)感想を言葉に言い表す
視覚を言語化する事は、読後の読書感想文に似ています。この時、今まで文脈でものを見て来た人というのは、その文脈そのものを視覚と結びつける傾向があります。つまり、実際には「何も見ていない」のです。ぜひ、自分の目で見たものを自分の言葉に置き換えてみましょう。


6)感想を『絵』に描いて表現する
これは読後の読書感想文や書評ブログと全く同じです。ブログを書いた事のある人なら実感して頂けると思いますが、アウトプットをする事で、初めて『身につく』のは視覚力とて全く同じです。


7)時間をあけてまた見る
時間が技術を向上させる種類の能力というものがあります。もちろん、意識がそれを加速させます。1〜6までを行ってみて下さい。見えてくる領域、見えてくる情報、そして、何よりも『感じるチカラ』が育っていく事がわかります。見えるもの(視覚情報)の質や量が以前とは異なる事に自分自身で気づきます。



画家やデザイナーという部類の人種であればたいていこの訓練を『デッサン』や『平面構成』で行います。上と異なるのは、まず描いてみるが0番で、アトリエの仲間達の作品を講評し、先生から講評され、アウトプットを繰り返して成長をしていきます。アーティストやデザイナーの中には、年老いてなお精力的というタイプの方々がいらっしゃると思いますが、こういったサイクルの中で成長を感じることができ、実際に成長中であれば創作活動を止められるはずもありません。


とはいえ、巨匠の作品を見て満足したから、デザインの専門家がいるから任せておけばよいという時代でもないようです。ぜひ、日頃から『視る力』に意識をしてみてはいかがでしょう。それは、ダイレクトに『魅せる力』にも繋がります。








by ujipublicity | 2010-05-03 06:48 | デザインセミナー