BBC(英国放送協会)の「デザインガイドライン」が大変に興味深いのでご紹介します。こういった企業のデザインのガイドラインからは、実にさまざまなものが見えてきます。放送事業であれば、その事業戦略や現場体制が、ネット企業であれば、どの事業部が力を持ち、どういったパートナーシップを求めているか...など、それは各企業によってさまざまです。
【デザインガイドラインって何?】さて、デザインガイドラインというのは、その名の通り企業やサービスのブランドがそのアイデンティティを守り、体験(エクスペリエンス)やサービス(フロー体験なども含む)を正しく伝えるために印刷物はもちろん、店舗、インターフェイス、グッズ、すべてのメディア露出における表現・・・といった、ユーザーとの接点すべてにデザインのガイド、すなわち規定や制限を設け実装するための指針になります。
そして、本日ご紹介する
BBC(英国放送協会)のデザインガイドラインですが、これは大変に良くできている。手間もかかっており、精度もあります。
http://www.bbc.co.uk/gelまず、最初に冒頭のサイトキャプチャーですが、
GEL, Global Experience Languageというサイト。BBC(英国放送協会)のグローバル戦略、デジタル•サービスのためにユーザーとの接点であるデザインや画面設計を「Experience Language(体験のための言語)」というガイドラインで紹介しています。
私はデザイナーですので
「ロゴのフォントがGillSanz(ギルサンズ)なのにウェブフォントはArial(アリアル)なんだ〜。」
とかそんなところばかり見てしまいますが(笑)、たぶんデジタル、グローバル戦略部門の方から見ればきっと違うものが見えている事でしょう。
ブランドとは体験のことだ、ユーザーとの体験のデザインが大切だとは業界でいわれ続けて久しいことですが、企業が実際にガイドラインにこのようなネーミングをしている例はまだ少ないと思います。(記事の終わりの方でさまざまな企業のデザインガイドラインもご紹介するつもりです。)
【盛り上がってきた?BtoBブランディング】現在、このBBC(英国放送協会)に限らずデザインガイドラインを使用した企業のブランディング強化は、注目されつつある領域であり、かつての80年代のCIブーム以来のムーブメントとなりそうな勢いです。また、誤解されがちなのですが、これらはコンシューマー向けビジネス、つまりBtoCとは限りません。むしろBtoBブランディングの領域でも大変に注目されて積極的な取り組みがはじまっているのです。
次にご紹介するのが、
BBC Future Media Standards & Guidelinesというサイト。
これがそのトップページです。
http://www.bbc.co.uk/guidelines/futuremedia/このサイトの中には、Design Standardというページがあります。ここでは、モバイルやタブレットなどさまざまな、次世代メディアについてのガイドラインがデザインに限らず、かなり詳細に公開されています。携帯やタブレットでの視聴体験や事業戦略をまるっと「Future Media」と位置づけてしまうのも面白いと思います。GELやFuture Mediaというネーミングからも、体験価値や次世代メディアについてのBBCの考え、取り組みがわかりとても面白いですね。
「Future Media」内のDesign Standardのページ
http://www.bbc.co.uk/guidelines/futuremedia/desedBBC(英国放送協会)のようなメディア企業にかぎらず、デザインガイドラインを積極的に使用しはじめている企業は多々あります。もちろん、それらの理由はたったひとつしかありません。それは、強いブランドを作るためです。
BBCのデザインガイドラインのいくつかの特徴に、大変にオープンだという点があります。まさに経営の指針やマーケティング戦略を「ブランド体験価値」としてとらえ、大変な労力を裂いているという証です。それらは、デザインガイドラインの手の混んだその細部を見ることで、だれでも体感することができます。つまり、インターフェイスデザインの設計ガイドという現場の最末端に対する指示のひとつひとつにもそれらは強く表れています。
ちなみに、そして、なんと、たとえば、なんですがBBC Mobile Style Guide 1.1などは、だれでもがアクセス可能になっており、もちろんだれでもダウンロードが可能です!
http://downloads.bbc.co.uk/guidelines/mobile_guide_v1.1_compressed.pdf(901KB)長くなりそうなので続きはまたの機会に。