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【繋げて・続ける】-山口(防府市)に3年通って地域ブランド「幸せますデザインガイドライン」を作った話
あくまでも私の知る限りですが、全国に先駆けた取組みとして先日、山口県防府市にデザインガイドラインを導入することができました。

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富海の海を前にたたずむ「防府市のおもてなし観光課」前・担当課長の石丸氏と担当デザイナー(オンライン)のこもりまさあき氏


最新号の日経デザインに、大変に上手に紹介していただいるのですが、実は案件(オーダー)としてのそれは無く、 いくつかのプロジェクトにおける成果の「保管庫」のようなかたちでその知見を「デザインガイドラインにまとめる」結果が今回の取り組みです。



それは、まだミッションとして具現化していないプロジェクト、たとえば未来に繋げたいというプロジェクトのことも視野に入れて考えておこうというデザインのフレームワークでもあり、いわゆる行政主導の試みとしてはとても珍しいものになっています。


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(photo:防府市商工高等学校黒川教諭 消滅の危機を乗り越えようと協力を呼びかけている、登り窯=真山窯火入れの様子)



防府市には「幸せます(幸せに思います、光栄です、等の意味)」という方言を使用したブランドのプロジェクトが以前からあり、他の地域と同じようにお土産品を作ったりされていて、それらはもともと、「ピンク色」がキーカラーでした。当時(3年前)からとても珍しいなぁと実は感じていました。
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(3年前 防府市からのご訪問記念写真。ウジのピンク色の衣装は当時幸せますブランドとは無関係の若い女子に揶揄されることもある日常風景)



【デザインで都市の未来は変えられるか?】地元高校生も巻き込む山口県防府市の「地域デザインプロジェクト(幸せます防府ブランド) という記事にも書いたとおりなのですが、防府市商工高等学校に拙著『デザインセンスを身につける』をご採用いただいたことがきっかけで、デザインのセミナーなどをさせていただき、実は、そのときの「とっさのアドバイス」がその後、プロジェクトにおけるスローガンのように採用されたりして、ご縁が深まりました。


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(某局のテレビドラマのドラマ館なのに、権利的に番組ロゴを市町村は使えない!どうする?ということで・・・)



その後、ある記録を持っていると言われる「某大河ドラマのサイン計画」にピンチヒッター的にお手伝いをすることになり、このときに「どうせこれからもブランドカラーとしてピンク色を使っていくなら、


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(防府市幸せますブランド デザインガイドラインのページより)



より使いやすく、整理して規定してしまおう」としたのが、デザインガイドラインの始まりです。そして、それらに「サブカラー」等のオプションは増えていったものの規定としては、継続的に利用してもらいながら改善されながら、このように一般にも公開されています。



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(防府市幸せますブランド デザインガイドラインのページより)



もちろん、デザインガイドラインには色だけで無くフォントの規定等もあるのですが、「市政へのデザインガイドライン導入」に執拗なまでにこだわったのには大きな理由があります。



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(「視覚」で訴えるWebサイト、自社ブランドらしさを出すために何が必要か?取材時の記念写真)


フォントメーカーのモリサワさんに伺った時に、いろいろと興味深いお話を伺ったのですが、何千万規模の広告・Web作成予算をもつ大企業さんでさえ、フォントを規定してガイドライン化して導入することが「予算上の壁にぶち当たり」至難の業だという衝撃的なお話を伺ったからです。

(技術的な課題もクリアになってきた昨今、Webフォントの値段なんて、年間でもちろん使用するフォント数やPVにもよりますが、たかが数万円ではないでしょうか。)


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https://newspicks.com/news/1597069/



先日、経済メディアキュレーションの進化形ともいえるNews Picksさんに光栄にも,新刊を紹介させていただく連載を掲載させていただいたのですが「女性が好むデザイン」のような話には、ピラニアのように(ごめんなさい)猛烈に食いつかれるも・・・・


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https://newspicks.com/news/1599385



【ウジトモコ】既存ユーザーを大切にしながら新規を開拓する戦略 という最終回では、「全く論が分からない」という人も見かけました。デザインガイドラインと未来における事業計画みたいなものの結びつき、あるいは、いくつかのプロジェクトを繋げて続けるという感覚的な部分が実感として、わかりにくかったのだと思います。


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https://www.gov.uk/service-manual



こちらの記事にコメントをいただいたことがきっかけで、Service Designの観点からヘルシンキ市の行政サービス改善プロジェクトに取り組んでいるニュースピッカーの方に教えていただいたのですが、イギリスなどは国を挙げてサービスデザインをすでにガイドライン化して公開していますし

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下記の記事をさらに紹介していただいたのですが(上はフィンランドのヘルシンキの風景写真です。フィンランドにはでデザインミュージアムなどもありますね。)


そのためヘルシンキ市では、市の内部の人たちに"デザインとは何か"を学んでもらい、デザイン文化を根付かせるアプローチを取っていく見込みです。継続的にデザイン文化を啓蒙するために、ヘルシンキ市ではCDO(Chief Design Officer)のポジションを設けることを発表しています。
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https://newspicks.com/news/1578624


という取り組みが行われているそうなのです。防府市でもちょうど『市の内部の人たちに"デザインとは何か"を学んでもらい、デザイン文化を根付かせる』取り組みが行われていますが、こういう「前例のないプロジェクト」を成功させるには、やはり、ひとりの力では限界があります。



先日、昔の映画で「荒野の7人」というのをなぜかぼんやりと(リアルタイム世代じゃないですよ)思いだしたのですが、ぜひ、「凄腕のデザイン関係者をあと少なくとも5〜6人」は防府にお連れしたいなぁなどと思うのであります。


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荒野の七人



イギリスの事例、フィンランドヘルシンキ市の事例を見ていただければ一目瞭然ですが、こうやって自慢げに公開している「幸せますブランド デザインガイドライン」も、サービスデザインという見地で言えば、全くのスタートラインといえます。



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デザインとは「これまでのことに関わらず(或いは、これまでのことを守りながら)これからをつくる」ものであることや、「複数プロジェクト、複数ミッションを繋げて続ける」ためのツールであると言うことが理解されていないからではないかなとと思っています。



(本のことを書くとまた、宣伝かと怒る方がいらっしゃるのですが)上記のようなあまりにも理解されていない「デザイン」のことも含めて『生まれ変わるデザイン−持続と継続のためのブランド戦略』は書かれました。是非、お手にとっていただければ幸いです。



【編集後記】

直前のお知らせとなりましたが、来週の月曜日、六本木の蔦屋さんでトークショーが開催されます。ご予約席は限りがありますが(念のためお問い合わせください)、当日、直接会場にお越しいただいても書店さんのイベントなので大丈夫ということです。

本イベントは、ビジネスパーソン向けということですので、地域ブランディングだけでなく

・女性向けのデザイン(ピンク色とかは使わない)
・新商品開発と既存ブランドをシナジーさせるデザイン戦略
・コストを下げて、ブランド認知を向上させる「バリューイノベーション」
・ロゴから展開させて、物販や空間デザインに拡張する「エクステンシブルデザイン」
・生き物のようにロゴをダイナミックに展開させる「ダイナミックデザインアイデンティティー」

等のお話もする予定です。
会期  2016年06月20日(月)
時間  19:30~21:00(開場19:15~)
場所  2F 特設イベントスペース
主催  TSUTAYA TOKYO ROPPONGI
参加費 対象書籍 定価2,000円+税
共催・協力  ビー・エヌ・エヌ新社
申し込み方法 03-5775-1515 お電話にてご予約を承ります。
ぜひ、ふるってご参加ください。会場でお目にかかりましょう✨️



【編集後記2】

デザインガイドライン(Webのスタイルガイド)導入実績は、モリサワ(紙媒体では使用)でなくフォントプラスです。
ちなみに、

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http://fontplus.connpass.com/event/20604/


こんな素敵なセミナーに実はお招きいただいたりしており(デザイナー必見!)、非常に勉強になったのですが、なぜかそのときの写真が全く無くて


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https://www.facebook.com/azami.night/

こんな、あほな飲み会風景しか見当たらなかったため、本文に挿入しづらくなってしまいました。(生明さん関口さんタキオノ先生、ごめんなさい!)記録写真って大事ですね。。。。



それでは、六本木の蔦屋さん、ご都合あう方は是非、これからスケジューリングしてくださいね。心よりお待ち申し上げます。


みなさま、良い週末を✨️

by ujipublicity | 2016-06-18 09:07 | ブランド構築とアイデンティティ
オリンピックのデザインはなぜ揉めるの?〜発注のグランドデザイン不在と「不気味の谷」現象〜(追記あり)
 ちょっと仕事がバタついていたので2週間ほどいわゆる「ネット断ち」をしていたところ、打ち合わせなどリアルでお会いするノンデザイナーな方それぞれに「オリンピックの件がやはりよくわからない」と毎日のように質問されるので久しぶりにブログを書いています。

 国立競技場のデザインコンペに始まり、ボランティア活動の衣装デザイン、オリンピックエンブレムのデザインと2020年の東京オリンピックに向けてデザインが次々に発表され、そのどれもがネットで話題になっているようですね。


【バラバラなイメージのデザインが次々と発表される2020東京オリンピック】

 このブログで触れておきたいのはそれぞれのデザインが良いか悪いかとかいう話ではなくて、アウトプットされたものからはっきりと見て取れること、それは「グランドデザインが不在のままデザインの発注が進んでいたのではないか、という懸念です。

 グランドデザインとは全体構想のことですが、これをもっとわかりやすく、広告デザイン業界でよく使う用語のたとえば「トーン・アンド・マナー(トンマナ)」=それのもつ雰囲気や世界観の視点から見比べてみれば、デザインに全く縁のないノンデザイナーの方でも、今回、選考されているのデザインのそれぞれが全く違う方向性に向かっていること、つまり、発注者がはっきりとしたデザインの方向性(ディレクション)を持っていないということは一目瞭然です。



【誰もがなんとなく感じ取ってしまう雰囲気や空気感】

 それぞれのデザインが持つ空気感、なんとなく醸し出す雰囲気、つまり「トーン・アンド・マナー(トンマナ)」というのは、誰でもが感じるうる共通の印象・認識ということになりますが
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たとえば、国立競技場(ザハ案)は「近未来的」とか「流線型」とか「先進的」
といったそんな感じになるでしょうか。


一方で、エンブレムのデザイン案は
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アルファベットをモチーフに「レトロモダンな」とか「和柄っぽい」とか「シンプルでグラフィカルな」感じでしょうか。(作者も亀倉雄策氏へのリスペクトを公言されていましたし。)



また、ボランティア活動ユニフォームデザインについて言えば、
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何系のハイファッションなのか私には残念ながら解説できませんが、素人見からすると幼稚園の園児の制服のような感じもあり(すみません..)「未来的な感じではなく、レトロモダンな和風でもない」ことだけははっきりと理解できます。

 つまり、2020年東京オリンピックを開催するにあたり、その基準となる「グランドデザイン」が制定されていないままデザインの発注業務が行われている様子が見てとれます。ひとつのイベントのために選出されたそれぞれ(競技場・エンブレム・衣装)のデザインに何の「一貫性」もないからです。



【誰のためのオリンピック?

 では「限られた予算」「限られた時間」を最大限生かす一貫性のあるデザインは、どうやって導けばよいのでしょうか。その目的を達成するための「グランドデザイン」や「デザインガイドライン」はどのように作ればいいのでしょうか。先ほどの「トーン・アンド・マナー(トンマナ)」の書籍にはデザインのディレクションを明確にさせるためとポイントとして次のように書いています。
すべてのデザインには出発点があり、ゴールがあります。
 デザインの出発点、つまりスタートとはそのデザインでなければならない「根拠(起点)」であり、ゴールとはそのデザインがもたらしてくれる「(望むべき)未来=目的」です。

 たとえば私個人の立場から言えば「オリンピックをきっかけに多くの人に日本を知ってほしい、日本に訪れてほしい」という期待があります。そしてついでに、日本を好きになってくれて、日本のものをいっぱい買って帰ってくれたらいいなぁと思っています。それは現在、東京の老舗のグローバル対応や地方の名産品のブランディングなど複数のプロジェクトに関っていおり、「インバウンド」と呼ばれる観光対策にもとても期待しているからです。
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 先日、生まれて初めてドバイ(1セット10万円のヨックモックがバカ売れしているらしい…)を訪れた際に強く感じたのですが、日本の車や工業製品は有名でも、食品を始め文化的なものの多くは未だ世界に知られてはいません。

 そういった意味で言えば、デザインのエレメント(要素)やスタティックな(静的な)意味での「カタチとしてのデザインの類似性」が適切かということはさておいて、佐野氏の提示した「デザインの方向性」には大きく共感できます。(「デザインの方向性(ディレクション)」とは、みんなでいっしょにあっちに向いて行こうよ、と皆が迷子にならないように導いていくコンセプトや戦略のことです。)



【赤ちゃんが感じる不気味の谷】

 一方で、デザインや形状の類似性リスクについては、拙著『伝わるロゴの基本』の中で、「赤ちゃんが感じる不気味の谷」という論文を引用して解説しています。
(参考:母親と他人の狭間—赤ちゃんが示す「不気味の谷」現象を発見— )
 
 人間には生後6ヶ月で「本物(のお母さん)」と「偽物(のお母さん)」を区別する機能が備わっており、知財や意匠などの観点から言えば、その個人が本物だと認識しているものがすでにある場合、時系列的に後から存在する類似性はそれにとっての「不気味な対象になりうる」ということです。
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 こちらについても、このような「不気味の谷現象」が起こることはやむを得ないということを理解した上で、プロジェクトの主催者・デザインの発注者がどのように考えるかということは大きなポイントです。

 つまり、自分たちのシンボルが何処かの誰かのデザインと似ていても別にいいのか(いや似ていないんだから別にいいでしょう?と考えるのか)、法的にたとえOKであっても「類似性が気持ち悪い」と言われることをリスクと考え、オリジナリティーを追求しよう(方向性はいいのだからさらに別の形状を追求していこう・・!)と考えるかは発注者の判断次第となります。



【誰にでも理解できる、正しいデザインの使い方】

 国内には名だたるデザイナー、クリエイターは多く存在していると考えられます。一方で、このような行政主体のイベントでなかなかデザインがその威力を発揮できないのは、デザイン発注者の知見不足が原因ではないか?と私は考えます。

 昨年、ご縁があって山口県防府市の「ドラマ館」のサイン計画のプロジェクトにアートディレクターとして参画する機会をいただきました。その時に、やはり、グランドデザインやデザインディレクション、デザインガイドラインの重要性をお話ししたところ、ほんの2時間の会議で「よくわかった」「考え方が変わった」「何をするべきかわかった」「もっと早く始めていればよかった」という声をいただき感動した記憶があります。

 大切なのは、誰にでも理解できる「デザインの正しい使い方」を共有することではないでしょうか。デザインのセミナーなどをさせていただく機会には、小・中学校からのデザイン教育の重要性をお伝えしています。みんながみんなデザイナーになる必要はありませんが、現在社会を生き抜く上での知性や教養としてのデザインは必須です。



【制限はクリエイティブの神】

 今回、様々な問題が浮き上がってはいますが、逆風や制限があればこそ、クリエイターやデザイナーの力の見せどころではないか、と強く感じます。突破口がない、と思われる壁を容易くぶち破ってくれる問題解決の技術こそ、デザインがもつ潜在能力であり、近年になって期待されているデザイン思考による仕事の在り方のひとつです。

「オリンピックが開催されたら多くの観光客が訪れて、日本酒とか、和菓子とか、日本製品が売れたらたらいいなぁ〜」などと妄想しつつ、週末や深夜にコツコツと仕事をこなしているデザイナーのひとりとして、関係者の方のご苦労を察しつつ現場担当者の方には最後までエールを送りたいと思います。



【追記】

Facebookで教えていただいたのですが、こんなニュースがありました。やっぱりなかったんだ(グランドデザイン!)。。。

遠藤五輪相は5日、東京五輪・パラリンピック特別措置法に基づく政府の基本方針について、「年内にはしっかりしたものを作っていきたい」と話し、初めて策定時期に言及した。
http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20150906-OYT1T50023.html
政府の五輪基本方針策定、遠藤五輪相「年内に」
ちなみに、こちらは素晴らしいコンセプトを発表されていましたね。
ザハ・ハディドアーキテクツは新国立競技場の工事費を抑え、価格に見合った質、耐久性を持ち、サステイナブル(持続可能)な建物にするための新しい入札方式を喜んで受け入れます。
このプレゼンテーションはこの特別な東京の敷地において最もコンパクトで効率の高いスタジアムとするために、過去2年間に渡って十分に検討された新国立競技場の設計概要を詳しく説明したものです。
ザハ・ハディドアーキテクツと日本の設計事務所が共同でデザインを手がけた新国立競技場は、私達チームの持つ過去のオリンピック、ワールドカップそして国際大会を開催する様々なスタジアムの設計を通じて得た知識と経験を全て活かしたものです。
日本の国民と政府が、過去2年にわたって現在のチームにかけた時間、努力そして投資を有効に使えば、2020年のオリンピック・パラリンピックに先んじて2019年には世界の観客を日本に迎えるために新国立競技場の完成が可能です。そして将来幾世代にも渡り、日本のアスリート達とスポーツ愛する人々にとっての新しいホームとなるでしょう。

https://vimeo.com/137305168
→ビデオプレゼンテーションとレポート―新国立競技場 東京 日本


ぜひ、ご覧になられることをオススメします。







by ujipublicity | 2015-08-03 06:00 | ブランド構築とアイデンティティ
カラーマネジメントの超基本3原則
「セミナーをやりました!」みたいな記事が続いてしまいましたので今日はカラーのお話です。

図はデザインを担当した機能的名刺入れ「harrytoree(C)」のイメージと広報・PR 活動の同一性を保つために規定した特色カラー名とウェブカラー。(他にプロセス4色の指定もありますがこれは企業秘密で、理由があって公開していません。)

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カラーのマネジメントはブランドの特色を印象的に訴求し、認知度を高める上で大変重要です。すべてのツール、メディアに展開可能なカラーマネジメントのためにもデザインのガイドライン制定は超推進中。ブランドの持続継続には必須のアイテムですからね。

ところが意外にも「キーカラーなら決めてある」けれども「カラーマネジメント」や「デザインガイドラインの制定」はこれからです、というプロジェクトは多いようです。ウェブサイトや空間デザインを実施するにはキーカラー以外に、必ずさまざまなカラー組み合せる必要があります。セミナーなどでもとても質問が多いので「パレット」という考え方を含めて「基本の3パターン」を紹介します。




【pattern1 一色訴求(戦略)】
「何色を使うか」と同じかそれ以上に大切なのがロゴイメージから導きだされる色数のマネジメント

一色訴求とはその名のとおり、キーカラーをメインに展開するイメージ戦略のことです。一見、簡単なように思えますが、同業者や同カテゴリーのサービスにおいて、先行しているブランドが使用していてすでに市場で認識されている色は使えません。デザイナーやデザインマネージャーはクライアントの好みや主張だけではなく、市場のカラー頒布領域を理解しておく必要があります。
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pattern2 多色訴求(戦略)】
キーカラーとサブカラー、あるいは選び抜いた数色の組み合わせで少ない色数でも印象的な表現

一色訴求に対する、キーカラーに対して異なる色相のサブカラーあるいは組み合わせカラーを持つ訴求表現です。多色使いのロゴ事例としては、IKEA、Tully’s Coffee、BURGER KING、BaskinRobbins31などがあります。思い浮かべるとどれも個性的で、ロゴを中心に印象的な店舗演出をしていることがわかります。
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【pattern3 パレット訴求(戦略)】
たくさんの色があるけれども、何かしらの統一感があり全体としてはバランスがいいのがパレット訴求

1~2 色ではなく5 ~6以上のコンセプチャルな色の定義を持ち、場合によっては色数が増えたり減ったりするものです。代表的なものとしては、アドビ社のCreative Suite などがあります。サービスや製品ラインアップが不定期に増減したり、ロゴそのものに拡張性が求められる場合にもニーズがあります。自由で汎用性があり、かつ同一カテゴリーに見える「パレット」という考え方です。(先のハリトレーの事例も同じです。)
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デザインガイドラインで意外に難しいのは、1と2のパターンです。ウェブサイトであればリンクカラー、空間デザインであれば壁や床の色、グッズのデザインであれば例えばシャツの地色など、ブランドの規定色を指定する事はほとんど不可能の場合は多くあります。

少なくとも自分のブランドが1色キーカラーのみしか制定されていない場合は、ブランドカラーを引立てるサブカラーなどを数色規定しておく事は必須でしょう。

ご興味をお持ちになられた方、もっと詳しく知りたい!というかたは『伝わるロゴの基本-トーン・アンド・マナーでつくるブランドデザイン-』にも書いていますのでぜひ書籍の方をご覧ください。⇒ http://www.amazon.co.jp/dp/4766124995



【編集後記】

台風、予想以下で本当に良かったですね!いよいよ夏も本番。みなさまどうぞ良い週末を☆



by ujipublicity | 2014-07-11 17:44 | ブランド構築とアイデンティティ
JR福島駅(西口)に福島美味ショップがオープン! #福島美味
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JR福島駅西口に福島美味ショップがオープンしていました。デザインを担当している「福島美味ブランドプロジェクト」事業の一部で、福島美味のシンボルマークやデザインガイドラインのコンセプトを踏襲し、店舗のデザインもお手伝いしています。(施工と設計は仙台の会社が担当されています。)

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「ブランドにおける動的ロゴ(Dynamic Identity)活用」 については、前回の記事でも書いた通りですが、こちらのショップでも、ブランドロゴ+キーカラーでデザイン展開されたバンダナやショッピングバックが使用されています。

ちなみにフェイスブックでチェックインした際にお友達に教えて頂いたのですが、福島駅の駅ビルにはスーパー銭湯があるそうで、帰りに確認してみたところ本当にありました!!(うっかり早く打ち合わせが終わってしまったときなどに立ち寄ってみたいと思います。)

こちらの方に立ち寄られる機会があれば、スーパー銭湯はもちろん(笑)福島美味ショップの方もぜひ除いてみてくださいね。中のショップは定期的に交替されているそうです。


福島美味ブランドプロジェクト
福島美味|FACEBOOK

(Design Firm: Uji Publicity Inc. , AD:Tomoko Uji , D: Akiko Shiratori , Asistant Art Director : K.Matsuzawa , Web Development : Plus Movement Inc )



【編集後記】
この日、こちらでは、ちょうど日本橋のアンテナショップなどに出展される漬け物やスイーツ、味噌などを中心に商品の選定会が行われていました。取材用にお話を伺ったり写真などを撮らせて頂きつつ、少し試食もさせてもらいました。

ひとことで味噌といってもさまざまな製法、成分、味の特色などがありますね。まさに、効き酒ならぬ「効き味噌体験」でした。職員の方曰く、みそ汁などは組み合せる出汁の量や種類で、さらに味の深みは変わるそうです。食材の選定や気の効いたレシピひとつで新しい世界が広がりそうな予感がします。
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福島の食の情報については、私も東京に住んでいるのでよく分かりますが、多くの方が「情報が足りない」と感じているようです。私自身もそう思います。

福島美味ブランドプロジェクトでは、編集部による現地取材や職員の方の一次情報によるオリジナルコンテンツを中心にした、情報誌とブログを発刊予定です。レポーターやアンバサダーブロガーの募集などもありそうです。どうぞご期待ください。

それでは、みなさま、どうぞ良い週末を☆

by ujipublicity | 2014-06-20 09:18 | ブランド構築とアイデンティティ
BBCデザインガイドラインから見えるもの
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BBC(英国放送協会)の「デザインガイドライン」が大変に興味深いのでご紹介します。こういった企業のデザインのガイドラインからは、実にさまざまなものが見えてきます。放送事業であれば、その事業戦略や現場体制が、ネット企業であれば、どの事業部が力を持ち、どういったパートナーシップを求めているか...など、それは各企業によってさまざまです。


【デザインガイドラインって何?】

さて、デザインガイドラインというのは、その名の通り企業やサービスのブランドがそのアイデンティティを守り、体験(エクスペリエンス)やサービス(フロー体験なども含む)を正しく伝えるために印刷物はもちろん、店舗、インターフェイス、グッズ、すべてのメディア露出における表現・・・といった、ユーザーとの接点すべてにデザインのガイド、すなわち規定や制限を設け実装するための指針になります。

そして、本日ご紹介するBBC(英国放送協会)のデザインガイドラインですが、これは大変に良くできている。手間もかかっており、精度もあります。

http://www.bbc.co.uk/gel

まず、最初に冒頭のサイトキャプチャーですが、GEL, Global Experience Languageというサイト。BBC(英国放送協会)のグローバル戦略、デジタル•サービスのためにユーザーとの接点であるデザインや画面設計を「Experience Language(体験のための言語)」というガイドラインで紹介しています。

私はデザイナーですので
「ロゴのフォントがGillSanz(ギルサンズ)なのにウェブフォントはArial(アリアル)なんだ〜。」
とかそんなところばかり見てしまいますが(笑)、たぶんデジタル、グローバル戦略部門の方から見ればきっと違うものが見えている事でしょう。

ブランドとは体験のことだ、ユーザーとの体験のデザインが大切だとは業界でいわれ続けて久しいことですが、企業が実際にガイドラインにこのようなネーミングをしている例はまだ少ないと思います。(記事の終わりの方でさまざまな企業のデザインガイドラインもご紹介するつもりです。)


【盛り上がってきた?BtoBブランディング】

現在、このBBC(英国放送協会)に限らずデザインガイドラインを使用した企業のブランディング強化は、注目されつつある領域であり、かつての80年代のCIブーム以来のムーブメントとなりそうな勢いです。また、誤解されがちなのですが、これらはコンシューマー向けビジネス、つまりBtoCとは限りません。むしろBtoBブランディングの領域でも大変に注目されて積極的な取り組みがはじまっているのです。

次にご紹介するのが、
BBC Future Media Standards & Guidelines
というサイト。
これがそのトップページです。
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http://www.bbc.co.uk/guidelines/futuremedia/

このサイトの中には、Design Standardというページがあります。ここでは、モバイルやタブレットなどさまざまな、次世代メディアについてのガイドラインがデザインに限らず、かなり詳細に公開されています。携帯やタブレットでの視聴体験や事業戦略をまるっと「Future Media」と位置づけてしまうのも面白いと思います。GELやFuture Mediaというネーミングからも、体験価値や次世代メディアについてのBBCの考え、取り組みがわかりとても面白いですね。

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「Future Media」内のDesign Standardのページ
http://www.bbc.co.uk/guidelines/futuremedia/desed

BBC(英国放送協会)のようなメディア企業にかぎらず、デザインガイドラインを積極的に使用しはじめている企業は多々あります。もちろん、それらの理由はたったひとつしかありません。それは、強いブランドを作るためです。

BBCのデザインガイドラインのいくつかの特徴に、大変にオープンだという点があります。まさに経営の指針やマーケティング戦略を「ブランド体験価値」としてとらえ、大変な労力を裂いているという証です。それらは、デザインガイドラインの手の混んだその細部を見ることで、だれでも体感することができます。つまり、インターフェイスデザインの設計ガイドという現場の最末端に対する指示のひとつひとつにもそれらは強く表れています。
ちなみに、そして、なんと、たとえば、なんですがBBC Mobile Style Guide 1.1などは、だれでもがアクセス可能になっており、もちろんだれでもダウンロードが可能です!
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http://downloads.bbc.co.uk/guidelines/mobile_guide_v1.1_compressed.pdf(901KB)

長くなりそうなので続きはまたの機会に。



by ujipublicity | 2013-04-20 07:29 | 視覚マーケティングのススメ