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誰のためのデザインー認知学者のデザイン原論ー
先日、「好きな音楽を聴いて楽しい気分になっている時、血管の内壁が弛緩して血液が通りやすくなり、心臓を保護する作用のある化学物質も分泌される」というニュースがミニブログでクリップされており、早速もと記事を見にいきました。

→→CNN.co.jp:「好きな音楽」に血管拡張の作用 米研究者が報告


興味深い事に、この研究を発表したミラー氏は

「音楽のリラックス効果で老化を遅らせることもできるはず」


とさらに研究に意欲を燃やしているとか。そういえば、音楽療法とかヒーリングミュージックなんて言う言葉も最近は良く聞きますね。


いや、まさにそのとおり!と思ったのですが、まだそんな研究をしている人はいないものの「デザイン」にも全く同じ効果があるのでは???



「いいデザインに囲まれていると、人は幸せな気分に浸り、何だか楽しい気分になり、健康にもよい」

とか、あるいは、もしかして

「いいデザインに囲まれていると、人は幸せな気分に浸り、何だか楽しい気分になり、老化防止にもよい」


こんな仮説が立ってもおかしくないはず・・・・!?







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さて、本題に入りますが、今日ご紹介する『誰のためのデザイン?』―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)の中で、ノーマン氏は以下のように述べています。

日常のデザインが美しさ第一主義によって支配されているとしたら、毎日の生活は目には楽しいかもしれないが、あまり快適ではなさそうだ。使いやすさ第一で支配されているとしたら、過ごしやすいかもしれないが、見栄えは良くないだろう。生産とコストとか作りやすさが優先すれば、製品はあまり魅力的でなく、機能的でもなく、長持ちもしないだろう。明らかにそれぞれの配慮にはそれぞれの長所があるのだ。一つのものが他を差し置いて優先されるとき、問題が起こるのである。


D.Aノーマン氏の主張の素晴らしいところは、デザインの優美さを決して否定している訳でなく、ユーザー中心のデザインの快適さとそれは同居できる、と信念を持って訴えているところにあります。そして、これらの結論を結びつけると、以下のようになるのではないかと思います。

美しいデザイン+使いやすいデザイン=幸せなデザイン(すなわち、美容にも健康にもいいデザイン!!)

名著なので、様々な抜き書きを目にしましたが、私が最もこの本を通じて多くの人に伝えたいところは、ドアの話でもなければアフォーダンスの概念でもありません。(追記:大切でないという意味ではなく、すでに、多くの
人によって紹介されているからですが)

デザインについて「あなた自身」へ氏が訴えかける、この巻末のこのメッセージですね。それは、デザイナーであるあなたに対しても、また非デザイナーであるあなたに対しても、「さあ、今日から行動しよう」と同じ目線で訴えかけています。

さて、これからはあなたの番である。もしもあなたがデザイナーならば、使いやすさを目指す戦いに加わって欲しい。もし、あなたがユーザーならば、使いやすい製品を求める声に加わって、声を上げて欲しい。製造メーカーにも手紙を書いて欲しい。使い物にならないデザインはボイコットして欲しい。よいデザインのものがあれば、ちょっと手間がかかったりお金が余分にかかったとしても、それを買ってそのデザインを応援して欲しい。


日頃使うもの、選ぶものはまさに「デザインへの1票」だと、氏は訴えているのです。

そして、氏の言葉は実に「生きている」なぁと思う訳です。(デザインの偉い人の多くは「こんなに凄いデザインをする自分が偉い」という話をしたがります。というか、そういうところへ持っていきたがりがちです。ポジショントークっていうやつなのかもしれませんが。)

そして、あなた自身に楽しんでもらいたい。デザインの細かなところまで確かめながら世界中を歩き回って欲しい。役に立つようなものがあれば、小さなものでもうれしく思って欲しい。そのようなものを慎重に考えて組入れた人を好意的に考えてあげて欲しい。そして、そのような細かい事が大切なのであり、そんな小さなことのためにも、デザイナーは役立つものを組み入れるべく力を尽くさなければならなかったにちがいないということをわかってほしい。


うう、何度読んでもよい。まったくもって、そのとおりだ。そして、最後にこう締めくくられていいます。

よいデザインをもたらしてくれた人には、心の中で賞を贈ろう。花も贈ろう。よいデザインをしてくれなかった人には、厳しい批判をしよう。その人には雑草で充分である。




ということで、自社の名刺のデザインをバージョンアップしました。
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by ujipublicity | 2009-05-20 22:31 | デザイン本とあれこれ