
アップルストア表参道店が先日オープンしました。
ティーザー(本編広告実施前の、一部情報を明らかにしないまま告知する広告手法)では、こちらの鮮やかなグリーンのロゴグラフィックが店舗工事中の壁面やウェブサイトなどに使われたのを見かけられた方も多いことでしょう。
「あれ、アップルのロゴってグレーだよね?」「CIは大丈夫なの?」などとひょっとして思われた方はいませんか(笑)
実はこれ、業界では注目されている「Dynamic Identity Systems」といわれる、
ロゴやシンボルマークをそのアイデンティティ(自己同一性)を保ちながら、動的に変化させていくCI/VIの手法のひとつなのです。
けやき並木の表参道に新しいアップルストアがオープンするので、グリーンの若葉のロゴのグラフィックというのはとても分かりやすい表現なのですが、こういった自社の持つデザイン資産(ロゴなど)の有効活用は国内ではまだまだ希少な気がします。
知名度の無いものを少しでも注目させたい一心で、有名人やアイデンティティと異なるアイコンを使用する広告をまだまだ多く見かけます。PR効果を考えれば、一時的な数字はあがりやすいのかもしれません。一方でブランドの長期的な視覚戦略、すなわちデザイン資産を有効活用したブランドイメージの蓄積という意味では、自社ロゴをPRにも積極活用するのは悪くないアイデアです。(限定ロゴT-シャツなどはとてもわかりやすいですね!ゲットされたユーザーさんの多くが自身のタイムラインにアップしてその認知をユーザーサイドから高めていました。)
近著『伝わるロゴの基本-トーン・アンド・マナーでつくるブランドデザイン-』では、リーン(省コスト/小さいスケール)スタートから初めて、ダイナミックに、また事業の成長にあわせて拡大解釈が期待できるロゴ(Scalable Identity System)のつくりかた、また、リ・ブランディングの手法などについてもステップバイステップで詳しく書いています。(まだご覧になっていないという方はぜひお手にとって頂ければ幸いです。)
担当しているデザインガイドラインの制作中に「オリジナルロゴジャガード」を何かに使いたいなといろいろ調べていたら、印刷技術の進歩で特注デザインのネクタイなどが1本から作成できることが分かりました。ロゴ1個をば〜んとど真ん中センターに入れたマグカップやT-シャツなどつくられる機会も多いかと思いますが、オリジナル(イベントロゴ)のデザインパターンにするとお洒落度はもちろん注目度&人気度がかなりアップします。
ロゴジャガードといえば、ヴィトンやグッチ、コーチなど有名ブランドをイメージされる方も多いかと思います。その価格帯やブランド価値については日本人の多くが知るところでしょう。
(バーバリーチェックというロゴグラフィクを持つ「バーバリーブランド」を借りて市場を育て、けっきょくライセンスを失ったSANYO商会の最近のニュースは少し残念なものでした。)
一方で、自社ブランドのロゴを最初から機能的につくっておくこと(拡張的なアイデンティティシステム)についてはまだあまり広まっていないように思っており、すべての方にお薦めしています。しかも、その手法は大企業でなくては活用できないという種類のものとは違い、いたってシンプルで再現性のあるものです。
http://www.apple.com/jp/retail/omotesando/
アップルストア表参道店
【編集後記】
今日は、ワールドカップ日本代表の初戦。前半、本田選手の鮮やかなゴールで先制したものの、コートジボワールの神ともいわれるドログバ選手投入後、2点を失点。敗退に終わりました。家族はみんなサッカー好きなのでドログバ選手のことをよく知っていたようです。私はなぜか『ストーリーとしての競争戦略』というタイトルの書籍を思い出しました(><;)
あきらめずにここから立て直して、良い結果を出してほしいなと思います。私は応戦します!