あくまでも私の知る限りですが、全国に先駆けた取組みとして先日、山口県防府市にデザインガイドラインを導入することができました。
富海の海を前にたたずむ「防府市のおもてなし観光課」前・担当課長の石丸氏と担当デザイナー(オンライン)のこもりまさあき氏
最新号の日経デザインに、大変に上手に紹介していただいるのですが、実は案件(オーダー)としてのそれは無く、 いくつかのプロジェクトにおける成果の「保管庫」のようなかたちでその知見を「デザインガイドラインにまとめる」結果が今回の取り組みです。
それは、まだミッションとして具現化していないプロジェクト、たとえば未来に繋げたいというプロジェクトのことも視野に入れて考えておこうというデザインのフレームワークでもあり、いわゆる行政主導の試みとしてはとても珍しいものになっています。

(photo:防府市商工高等学校黒川教諭 消滅の危機を乗り越えようと協力を呼びかけている、登り窯=真山窯火入れの様子)
防府市には「幸せます(幸せに思います、光栄です、等の意味)」という方言を使用したブランドのプロジェクトが以前からあり、他の地域と同じようにお土産品を作ったりされていて、それらはもともと、「ピンク色」がキーカラーでした。当時(3年前)からとても珍しいなぁと実は感じていました。
(3年前 防府市からのご訪問記念写真。ウジのピンク色の衣装は当時幸せますブランドとは無関係の若い女子に揶揄されることもある日常風景)
【デザインで都市の未来は変えられるか?】地元高校生も巻き込む山口県防府市の「地域デザインプロジェクト(幸せます防府ブランド) という記事にも書いたとおりなのですが、防府市商工高等学校に拙著『デザインセンスを身につける』をご採用いただいたことがきっかけで、デザインのセミナーなどをさせていただき、実は、そのときの「とっさのアドバイス」がその後、プロジェクトにおけるスローガンのように採用されたりして、ご縁が深まりました。
(某局のテレビドラマのドラマ館なのに、権利的に番組ロゴを市町村は使えない!どうする?ということで・・・)
その後、ある記録を持っていると言われる「某大河ドラマのサイン計画」にピンチヒッター的にお手伝いをすることになり、このときに
「どうせこれからもブランドカラーとしてピンク色を使っていくなら、
もちろん、デザインガイドラインには色だけで無くフォントの規定等もあるのですが、「市政へのデザインガイドライン導入」に執拗なまでにこだわったのには大きな理由があります。
(技術的な課題もクリアになってきた昨今、Webフォントの値段なんて、年間でもちろん使用するフォント数やPVにもよりますが、たかが数万円ではないでしょうか。)
下記の記事をさらに紹介していただいたのですが(上はフィンランドのヘルシンキの風景写真です。フィンランドにはでデザインミュージアムなどもありますね。)
そのためヘルシンキ市では、市の内部の人たちに"デザインとは何か"を学んでもらい、デザイン文化を根付かせるアプローチを取っていく見込みです。継続的にデザイン文化を啓蒙するために、ヘルシンキ市ではCDO(Chief Design Officer)のポジションを設けることを発表しています。
https://newspicks.com/news/1578624
という取り組みが行われているそうなのです。防府市でもちょうど『市の内部の人たちに"デザインとは何か"を学んでもらい、デザイン文化を根付かせる』取り組みが行われていますが、こういう「前例のないプロジェクト」を成功させるには、やはり、ひとりの力では限界があります。
先日、昔の映画で「荒野の7人」というのをなぜかぼんやりと(リアルタイム世代じゃないですよ)思いだしたのですが、ぜひ、「凄腕のデザイン関係者をあと少なくとも5〜6人」は防府にお連れしたいなぁなどと思うのであります。
イギリスの事例、フィンランドヘルシンキ市の事例を見ていただければ一目瞭然ですが、こうやって自慢げに公開している「幸せますブランド デザインガイドライン」も、サービスデザインという見地で言えば、全くのスタートラインといえます。
デザインとは「これまでのことに関わらず(或いは、これまでのことを守りながら)これからをつくる」ものであることや、「複数プロジェクト、複数ミッションを繋げて続ける」ためのツールであると言うことが理解されていないからではないかなとと思っています。
【編集後記】
直前のお知らせとなりましたが、来週の月曜日、
六本木の蔦屋さんでトークショーが開催されます。ご予約席は限りがありますが(念のためお問い合わせください)、当日、直接会場にお越しいただいても書店さんのイベントなので大丈夫ということです。
本イベントは、ビジネスパーソン向けということですので、地域ブランディングだけでなく
・女性向けのデザイン(ピンク色とかは使わない)
・新商品開発と既存ブランドをシナジーさせるデザイン戦略
・コストを下げて、ブランド認知を向上させる「バリューイノベーション」
・ロゴから展開させて、物販や空間デザインに拡張する「エクステンシブルデザイン」
・生き物のようにロゴをダイナミックに展開させる「ダイナミックデザインアイデンティティー」
等のお話もする予定です。
会期 2016年06月20日(月)
時間 19:30~21:00(開場19:15~)
場所 2F 特設イベントスペース
主催 TSUTAYA TOKYO ROPPONGI
参加費 対象書籍 定価2,000円+税
共催・協力 ビー・エヌ・エヌ新社
申し込み方法 03-5775-1515 お電話にてご予約を承ります。
ぜひ、ふるってご参加ください。会場でお目にかかりましょう✨️
【編集後記2】
デザインガイドライン(Webのスタイルガイド)導入実績は、モリサワ(紙媒体では使用)でなく
フォントプラスです。
ちなみに、
それでは、六本木の蔦屋さん、ご都合あう方は是非、これからスケジューリングしてくださいね。心よりお待ち申し上げます。
みなさま、良い週末を✨️